低成長期、ましてやデフレの時はモノが売れなくなります。
売れなくなるから、価格を下げてその分、量を余分に販売しようと考えます。
思ったほどに売れなければ、また価格を下げる。競合相手も値下げする。
こうして、日本全体がデフレスパイラルに陥って行きます。
デフレ期は、少々の値引では消費者の購入マインドを高めることはできません。
全商品を一律に値下げするような戦略もまた、その効果を期待することはできません。
「値上げと値下げの組み合わせで利益を出す」でお伝えしたように
値下げするのならば、商品を特定して大胆な値下げをする必要があると思います。
大胆に値下げされた特定商品は、
フロントエンド商品、または集客商品、またはおとり商品と言う位置づけになります。
これにより、他のバックエンド商品(利益商品)を購入して貰う事で
全体として利益が増加する戦略を取ります。
また「低価格戦略の落とし穴」でお伝えしたように
販売単価が利益に与える影響は、販売数量が利益に与える影響よりも大きいので
値下げして利益を出すためには、相当の販売量の増加が必要となります。
値下げするのならば
販売数量の減少を覚悟の上で、
値上げしたほうが今まで以上の利益が期待できるでしょう。
ただし、販売戦略によって販売数量減を最小限に抑えることができるはずです。
先程の大胆に値下げされた特定商品である
フロントエンド商品との組み合わせによる販売戦略も、その一例ではないかと思います。
値下げによりたくさん販売することで利益が増加するのが
増収増益経営。
値上げ、または高付加価値商品により販売数量が減少しても利益が増加するのが
減収増益経営。
そして今、デフレにより否応なく増収増益経営を目指しながら
利益の減少が続いているのが現状ではないのでしょうか。
ここは思い切って、減収増益経営に舵を切ってみてはいかがですか。
「値上げしたらもっと売れなくなってしまう」
「値上げが許される状況にはない」」
そう考えたくなる気持ちも十分理解できます。
しかし、少々値下げをしてもやはり売れないのです。
今、社長さんの会社は減収減益経営に陥っていませんか?
「制約条件は解除の対象」です。
つまり、初めからできないと決めつけることは止めましょう。
できるために何をすれば良いのか=戦略を考えるのが経営です。
何をするのか=戦略が決まったら、仮説を立てましょう。
そして、仮説を数値化してその結果を数値で検証する。
値上げも無謀な値上げではなくなるはずです。
マクドナルドが、コーヒーと朝食メニューの値上げを決定しました。
同時に、高付加価値・高価格商品のアイテムを追加します。
ちなみにマクドナルドは、
コーヒーが値上げされても販売数量は減少しないと言う仮説を立てています。
もちろん、大胆な値引戦略による販促も打ってくるでしょう。
まさに「値上げと値下げの組み合わせで利益を出す」
プラス「高付加価値商品の増強」で
減収増益ではなく、違った意味で増収増益経営を目指しているようです。
さて、最後に次の表をご覧になってください。
値下げして増収増益を目指した結果

10%値下げして増収増益を目指しましたが
販売数量の増加は10%に留まり、利益は約130万円減少してしまいました。
売上も減少しているので、結果的に減収減益となってしまいました。
それどころか、値下げしても販売数量が伸びないでいるかもしれません。
これが、今多くの会社が直面している現状ではないかと思います。
値上げして減収増益を目指した結果

10%値上げして減収増益を目指しましたが
販売数量の減少は5%に留まり、利益は約160万円増加しました。
売上も増加しているので、結果的に増収増益となりました。
販売数量の増加がいかに難しく、効果が期待できないとするならば
減収増益へと考え方を転換した経営と戦略が、
低成長・デフレだからこそ必要であると思うのです。
(表は管理会計ツール「価格・数量改定効果測定」の一部を抜粋して掲載しました)
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。