前回、「健全な会社、危ない会社その1」で、
貸借対照表は、企業のある時点での資産状況を示しており、
企業の健康状態の診断結果であるという、お話をしました。
今回は、貸借対照表を診断し、健全な会社と危ない会社を
分けるのは何か、についてお話しいたします。
下記は、簡略化した貸借対照表のサンプルです。

貸借対照表の説明は、「健全な会社、危ない会社その1」をご覧ください。
次は、さらにシンプルに
健全(健康)な会社、危ない(病気)会社の二つの貸借対照表です。
■健全な会社の貸借対照表

健全な会社であると診断されるためには、
中小企業の場合なら、自己資本比率が40%〜60%以上。
自己資本比率=自己資本÷資産(総資本)
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自己資本÷資産(総資本)≧40%ですね。
この辺のところが健全経営の最低条件であり、これを満たしていれば、
優良企業と認められ、資金繰り対策も、銀行融資対策も良い状態にあると言えます。
なお、手許に現金・預金が多ければ、
それだけ資金繰りにゆとりができ、銀行からの融資も簡単になります。
あるいは、運転資金のために、銀行から借入れする必要性も少ないでしょう。
また、同じ自己資本比率でも、その内容によって状況が変わってきます。
例えば資産の状況で
「流動資産」と「固定資産」の比率は各社の経営内容で随分と変わってきます。
一概には言えませんが、流動資産が多い方が
「流動比率」が高くなり、より手許現金が多い可能性があります。
流動比率=流動資産÷流動負債
自己資本が増加し、健全経営の会社になれば、
世間の評価が上がり、銀行の信用力も高まり、
役員報酬の増額だって可能となります。
■危ない会社の貸借対照表

こんな場合は危ない会社と診断されてしまいます。
自己資本÷資産(総資本)≦10%
自己資本比率が10%では債務超過目前。
(自己資本比率=自己資本÷資産(総資本))
ちなみに、債務超過とは、自己資本がマイナスになった状態の事です。
自己資本比率が10%くらいになってしまうと、資金繰りもかなり逼迫しています。
しかも、銀行からの融資はかなり難しくなってきます。
ここまで自己資本比率が低下すると
銀行は、実質的債務超過に陥っている可能性があると判断し、分析します。
・在庫や仕掛品を水増し計上していないか?
・不良資産はないか?
・貸付金が増えていないか?
・減価償却費が未計上になっていないか?
などをチェックされます。
自己資本の減少が続けば、役員報酬減額は避けられない状況となります。
企業の経営体質を見る場合 、
収益性・活動性・安全性・支払い能力・生産性などを分析しますが、
やはり、中小企業=小さな会社が目指すところは、自己資本の充実が一番。
つまり、自己資本÷資産≧40%
ではないでしょうか。
ここで、貸借対照表から分かる会社の健康診断のポイント。
■自己資本比率=自己資本÷総資本
(企業の安全性と、環境の変化に対する強さを示しています)
この比率が低下している場合は
支払手形、借入金など、他人資本=負債への依存度が高くなっている場合です。
利益無視の借入金依存による拡大経営は、総資産が増える水膨れ体質で危険信号です。
■借入金/総資本比率=借入金÷総資本
(借入金依存度を見る指標です)
上記同様
拡大経営の場合や、
赤字補填などの後ろ向き借金をしている場合は、
比率が悪化します。
■流動比率=流動資産÷流動負債
■当座比率=当座資産÷流動負債
(支払能力を見る指標です、当座比率は直近の比率)
比率が低下している場合は、
短期借入金の増加、
買掛金の増加、
運転資金で設備資金を賄っている、
などの理由が考えられますが、資金繰りは悪化していきます。
なお、受取手形のサイトが長く、支払手形のサイトが短い場合や
過剰在庫や不良在庫が発生している場合は、
比率は高くなりますが、資金繰りはきつくなる場合があります。
■売上債権/支払債務比率=売上債権÷支払債務
(資金手当ての必要性を見る指標)
この指標が、100%を超えていれば、資金手当ての必要性があります。
売上の増加・拡大が続いている場合比率が大きくなります。
これは、売上が増加すれば
債権(売掛金・受取手形)、債務(買掛金・支払手形)も増加しますが
債務の支払いが、債権受取より早い場合、特に比率が高くなります。
しかし、この場合、運転資金が不足しても
売上拡大に伴う現象なので、銀行は容易に貸出に応じてくれます。
■負債比率=負債合計÷自己資本
(他人資本が自己資本の何倍あるか、つまり他人資本の依存率を見る指標)
これが高ければ、「他人のふんどしで相撲を取る」ような経営状態でしょうか。
他にも
固定長期適合率とか、借入金/預金倍率などの指標があります。
貸借対照表から、以上のような(主な)指標を診断することで、
企業の健全性
・環境適応力
・資金繰りの状態
・水膨れ体質
・資本の自立度や依存度
・拡大経営や放漫経営
などを見てとることができます。
その他、貸借対照表と損益計算書を組み合わせて、
資本がどの程度効率よく利用されているかなどの分析や、
損益計算書により、
企業の収益性を見る分析などがあります。
これも、追々ブログにUPしていくつもりです。
是非今まで以上に、
貸借対照表に目をやる機会を増やしてほしいと思います。
最後に朴念仁は、
自己資本の拡大、自己資本比率の向上こそが
中小企業が、健全に生きる道であると思っています。
そして、多くの社長さんが勘違いしている秘められた真の意味を、
何れ、この自己資本の問題から解き明かしていこうと思います。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。