前回まで、3回に亘り
貸借対照表、損益計算書、変動損益計算書を使って、
損益分岐点の求め方、必要売上高の求め方、
についてお話をさせていただきました。
社長さん、バックナンバーから、是非もう一度読み返してほしいと思います。
「損益分岐点売上高を算出しましょう−その1」
「損益分岐点売上高を算出(変動費と固定費)−その2」
「損益分岐点売上高を算出(必要売上高の求め方)−その3」
経営を行う上で、必ず押さえておかなければならないポイントであると、
朴念仁は思っています。
さて、銀行は融資の際に、社長さんの会社の
貸借対照表、損益計算書、経営計画書、資金繰り表などから可否を決定します。
しかし、銀行は社長さんの会社を、あるルールによって格付けしています。
会社の格付けは、「債権者区分」と言い、
銀行は、金融検査マニュアルに従って、
貸出先の債権者区分、いわゆる格付けをするように義務付けられています。
この格付け(債権者区分)は次の5つに分けられています。
1)正常先:債権の回収に問題がない。
2)要注意先:金利を減免した、元金・利息が延滞している。
(この中にに要管理先があり、金利の支払いが3ヶ月以上延滞している)
3)破綻懸念先:実質債務超過で、金利の支払いが6ヶ月以上延滞している。
4)実質破綻先:実質債務超過で、金利の支払いが1年以上延滞している。
5)破綻先:不渡り手形の発生か、破産・清算で経営が破綻している。
この格付けにより、銀行は
・融資の可否
・金利
・貸し出し期間
・貸し出し方法
・担保や連帯保証人の有無
を決定して、社長さんの会社に融資することになります。
と、ここまで見ると、
「元金も利息も延滞せずに払っているから、わが社は正常先」
「だから、融資はいつも問題なく受けられる」
と、話はそんなに単純ではないのです。
銀行には銀行の都合があって、
融資先を、できるだけ正常先に留めておきたいのですよ。
なぜならば、銀行は、融資先が要注意先以下の場合、3%から100%で
貸し倒れ引当金を積まなければならないからです。
例えば
要注意先の場合 3%くらい
要管理先の場合 15%〜30%くらい
破綻懸念先の場合 50%〜75%くらい
それ以上は 100%
正常先なら 0.1%
の貸し倒れ引当金を計上するよう義務づけられています。
これは、銀行の特別損失となり、それだけ利益が減少してしまいます。
例えばあなたの会社が破綻懸念先に区分されてしまうと
もし、1億円融資していれば、
銀行が5千万円以上引き当て計上し、その分利益が減ってしまいます。
引当金を計上すれば、当然、銀行の財務内容が悪化します。
これを避けたいんですね。
また、BIS規制により自己資本比率が
国際決済銀行は8%以上、国内銀行は4%以上と決められており
これを下回ると、金融庁(銀行の天敵)から業務改善指導を受けることになります。
だから、ほんとうはすでに正常先ではない貸出先に、
追加運転資金なるものを融資して、見掛け上正常先であると取り繕っているわけです。
もうひとつ、何とか融資に応じる理由が銀行にはあると思います。
つまり、銀行としても会社が潰れてしまっては、これまた困る。
支店長や融資担当者の評価下がりますから、転勤まで事故を起こしたくない。
だからお互いの妥協点として、
6か月くらいの資金繰り予定表と、経営計画書が必要になってくるんです。
で、この辺でお茶を濁して(とりあえず延命措置ネ)、
後は、「社長さん、頑張ってくださいね」となる訳です。
(でも、2回、3回と同じ手はダメですよ、本気で業績回復に取り組まないと)
銀行としては、
「もう心配でほんとうは融資したくない」
だけど、上記三つの理由で、簡単に融資申し込みを断ることもできない。
これが、融資のジレンマに陥っている銀行の貸出し姿勢ではないでしょうか。
これを逆手にとり、現状厳しい経営内容でも、
必ず先々経営が改善すると言う、見込み、証拠を見せなければなりません。
これが、資金繰り予定表と経営計画書です。
(経営計画は、変動損益計算書があるとほんとうに作成しやすくなります)
これらは、本来融資のために作成するものではないと思います。
自らの会社を健全経営へと導くためには、必要不可欠なものですから。
最後に、やはりすべての前提となるのが経営戦略であると、朴念仁は思います。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。