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2011年01月23日

黒字経営なのになぜ資金繰りが大変

今日は、朴念仁です。

この間、コンサルしているA社の決算報告がありました。

ここの社長さん、勤めていた会社の経営者が亡くなり、色々あった結果
会社を引き継ぐことになりました。

以前、この会社赤字続きで、存続が危ぶまれていたんですね。
しかし、これを契機に大胆に規模を縮小して、経営を続けることになりました。


今回の決算は、彼が社長になって、1年通して経営をした、実質初の決算でした。


先ずは利益の出る会社にしよう
と言う事で、初めて経営計画を策定してもらい、大胆なコストダウンも実施しました。

この結果、久しぶりの黒字を計上できたことは、喜ばしい限りです。


で、経営計画策定中に分かったことですが、
このA社、利益が0円または、少々の赤字ならば、資金繰りに困らないんですね。


一方

「朴念仁さん、今期も黒字経営だったのに、何で資金繰り大変なの?」
と、B社の社長さんから素朴な(?)疑問。


確か、このB社、毎期200〜400万円くらいの利益を出していました。

もともと小規模な会社なので、普通ならば「これくらいの利益でも仕方ないかな」
くらいの話で終わるところなんですが・・・。

ところが、毎期資金繰りが逼迫しており、新たな借り入れが必要となっていました。


以前の記事
「健全な会社、危ない会社その1」
「健全な会社、危ない会社その2」


の中で、中小企業は自己資本の増加、内部留保の拡大を目指すべきだ
というお話をさせていただきました。

ここが、A社とB社の違いを解き明かすカギとなります。


もう一度、健全な会社と危険な会社のB/S(貸借対照表)を比べて見ましょう。

自己資本比率40%以上が優良企業の最低条件、資金繰り対策も万全!

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手許に現金資産が多ければ、それだけ資金繰りにゆとりができ、
銀行からの融資も簡単になります。

同じ自己資本比率でも、その内容によって状況が変わってきます。

例えば資産の状況で
「流動資産」と「固定資産」の比率は各社の経営内容で随分と変わってきます。

一概には言えませんが、「流動資産」の比率が高い方が、
より手許現金が多い可能性があります。

自己資本が増加すれば役員報酬も増額できることになります。



自己資本比率が10%では債務超過目前で、銀行からの融資は厳しい状況に!

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自己資本比率が10%くらいになってしまうと、資金繰りもかなり逼迫しています。
しかも、銀行からの融資はかなり難しくなってきます。

ここまで自己資本比率が低下すると、
銀行は実質的債務超過に陥っている可能性があると判断します。


・在庫や仕掛品を水増し計上していないか?
・不良資産はないか?
・減価償却が未計上になっていないか?
などをチェックされます。

自己資本の減少が続けば役員報酬の減額は避けられない状況となります。


会社が存続するためには、健全な会社でなければならない。
健全な会社になるためには、自己資本を充実させなければならない。



それでは、
自己資本を増加するためには、何がどうなっていなければならないのでしょうか?


それは、獲得した利益が、
自己資本の増加、内部留保の拡大を満たしていなければならない
と言う事なんです。


決算書に示された利益は、実は、「本当に必要な利益とは違う」のですね。


それでは、自己資本が増加するために必要な利益とは何でしょうか?

キーワードは

借入金元金返済額
納税額
減価償却費

なのです。


次の損益計算書をご覧になってください。

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損益計算書は、概ねこのような形になっていますね。

売上総利益=売上高−売上原価
営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用

一年の経常的な事業活動の結果、経常利益が得られ
特別利益、特別損失を加減して、税引前当期純利益となります。

さて、
損益科目を見渡してみて、
借入金元金返済額と言うのがありません。

借入金元金返済額と法人税は、損益科目ではないのです。
これらは、得られた利益の中から支払わなければならないのです。


また、減価償却費は損益科目、つまり費用ですが現金の支出を伴いません。


例えば期首に、100万円の軽自動車を現金で購入しました。
また軽自動車の場合、税法では耐用年数は4年となっています。

そこで、定額法で処理した場合、1年目は25万円の償却が可能です。
(定率法なら毎年36.9%となります。)


さあ、ここで、この取引を仕分けして見ますね。

軽自動車購入時

(借方) 車両    1,000,000 : (貸方) 現金   1,000,000 

決算時定額法で処理した場合(通常は毎月処理した方が望ましい)

(借方) 減価償却費  250,000 : (貸方) 車両    250,000 

となります。


つまり、お金は購入時に支出されていますので、損益計算書に費用として
計上される車両の減価償却費は、現金の支出を伴わない費用となる訳です。


つまり、
借入金元金返済額と納税額は、得られた利益から支出しなければならないので
その合計額より、税引前当期純利益が大きい方が望ましいのです。

利益>借入金元金返済額+納税額

しかし、
減価償却費は、現金の支出を伴わない費用なので、
分かり易く言えば、お金が浮いたことになり、費用から減じることができます。
あるいは、利益に加えることが出来ると、言い換えても良いかもしれません。

これを最終的に計算式で表すと、次のようになります。

【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】

この獲得利益が、自己資本を増加させる「必要利益」なのですね。

こうなって初めて、儲かったと言えるのではないのでしょうか。


先程のA社、B社で検証して見ましょう。

なお21年税制改正で、
中小企業の法人税率は年800万円以下の場合、18%となっています。
(話を分かりやすくするため、単純に18%だけ納税すれば良いとします)
(この辺の詳しい話は、顧問税理士さんにお尋ねください)


A社の場合
税引前当期純利益 2,000,000
借入金元金返済額  600,000
納税額       360,000
減価償却費     900,000

必要利益=借入金元金返済額+納税額−減価償却費
必要利益=600,000+360,000−900,000
    =60,000

この場合、自己資本は1,940,000増加する。

もし、利益が0円ならば
必要利益=600,000+0−900,000
    =−300,000

つまり、利益なしでも自己資本が300,000増加する。


B社の場合
税引前当期純利益 3,000,000
借入金元金返済額 7,000,000
納税額       540,000
減価償却費    2,000,000

必要利益=借入金元金返済額+納税額−減価償却費
必要利益=7,000,000+540,000−2,000,000
    =5,540,000

この場合、自己資本は2,540,000減少する。

これでは、毎年資金繰りが大変になるのが分かります。
また、毎期こんな状態ならば、早晩債務超過に陥ってしまうでしょう。


なお、資金繰りが厳しくなる条件は多々ありますが、
今回は自己資本の増減に焦点を絞って、お話しさせていただきました。

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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。


posted by 朴念仁 at 07:23| Comment(0) | 資金繰り・銀行融資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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