前回の「資金繰りひっ迫・支払能力悪化は倒産の予兆」では、
貸借対照表より、
・流動比率=流動資産÷流動負債
・当座比率=当座資産÷流動負債
・売上債権/支払債務比率=売上債権÷支払債務
・固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)
以上の分析をすることで、
支払能力が低下している原因と、その場合の対策の話をさせていただきました。
そして、支払能力が低下(すなわち資金繰り悪化)している時、
それは会社が債務超過、倒産に向かう、危険な兆候であると言う事でしたよね。
そうは言っても、資金繰りに窮すれば、どこかからお金を調達しなければなりません。
はい、それでは、
社長さんの個人預金を解約するか、株式を売って運転資金を調達してください。
これで、会社は回っていきますよ。
「朴念仁よ、何をばかなこと言っているのか?」ですか。
だって、自己資本を増加させる必要利益を獲得するためには、
【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】
となっていなければならない、と言うお話を何度もしましたよね。
この方法なら、社長さんからの借入金を、長期借入金として塩漬けにしておけば、
借入金元金返済額が発生しない訳ですから、経営は楽になるでしょう。
もちろん、固定負債(科目は役員借入金)が増えるわけですから、
見掛けの自己資本比率は低下します、でも、見掛けだけですよね。
だから、わざわざ役員借入金として、貸借対照表に記載しとく訳です。
そして、その間に経営を立て直せばいいのですよ。
「そんなことはできない!絶対に嫌だ!もうすでにやっている!」
この場合は、銀行から運転資金なるお金を調達しましょう。
でも、運転資金にも色々ありますからね。
【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】
ですから、
一番いいのは、借りた金を返さなければ良いのですね。
これが、当座貸越と言うやつです。(手形貸付もある)
利息は払わなければなりませんが、元金返済をしなくてかまわないので、
資金繰りはかなり楽になります。
ただし、銀行も簡単には、当座貸越枠を設定してくれないかもしれないので、
チャンス・タイミングを逃さず交渉して見ましょう。
チャンスは、
・会社の売上が増加しているため、資金が必要になった時
・大量受注があって、資金が必要になった時
・売上の季節変動により、資金が必要になった時
ですね。
前回の「資金繰りひっ迫・支払能力悪化は倒産の予兆」で説明した、
いわゆる増加運転資金が必要になった時が、このチャンスなんです。
この増加運転資金、
銀行から見れば、最も融資しやすい運転資金で、割と簡単に借入できます。
もちろん、根拠の説明は必要ですよ。
増加運転資金とは
売上が増加すれば、債権(売掛金・受取手形)、債務(買掛金・支払手形)
ともに増加しますが、債務の支払と債権回収の時間差による運転資金のことです。
ただ、銀行としても、融資しやすいとはいえ一定の限度があります。
増加運転資金限度額=債権の増加額+在庫の増加額−債務の増加額
と言う事になります。
この限度額が一番大きい時に融資を申し込むのがグッド・タイミングでしょう。
次が納税資金と賞与資金
本来、両資金を借り入れで賄うなんて、ばかげた話です。
「納税額は、得られらた利益の中から支払わなければならない」
と、何度か説明してきました。
つまり、この場合は完全に「必要利益」が得らてない訳ですから、
銀行も、「まあ、いいか」くらいでやや容易に、曖昧に、融資に応じることになります。
必要利益ならずとも、黒字と赤字の差は大きいですからね。
余談ですが、「社長、1円でもいいから黒字決算にしておいてね」
なんて、銀行さんから言われたことを思い出しました。「阿呆な話!」
その他の運転資金、何て言うのか知りません。
例えば、
・赤字の穴埋めで必要な運転資金
・買掛金が払えなくて必要な運転資金
・支手決済のために必要な運転資金(おっと、これ払えなければ不渡り手形、2回続けば倒産ですよね)
などでしょうが、これって、もはや運転資金と言わないでしょう。
すでに、経営が破綻しかかっているのですから。
こんな資金が必要な時は、
よっぽど見事な経営計画と資金繰り表を持って行き、
銀行を説得して見ましょう。
お金が出る場合もありますから。
それでも、もうダメならば、残された手段はリスケしかありません。
(リスケ:リスケジュール、平たく言えば返済猶予して貰う事)
(これ、デフォルト宣言と同じか?)
「とても借入金の返済がかなわないから、返済をストップして欲しい」
と、銀行と交渉する訳です。借入している全部の銀行とね!
【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】
の、借入金元金返済額を0円にするという意味ですね。
こんな状態では、納税額もありませんから、しばらく息をつけるでしょう。
さて、リスケをしたら
本気で経営改善を進めなければなりません。
しかも、早期に、超ゲキテキに進める必要があります。
だって、
リスケの効果はそんなに長く続きませんし
その間は、もう、新規の融資はまず不可能ですから。
だから、
こうなる前に、経営戦略と経営計画をしっかり策定し、
真摯に経営に取り組んで欲しいと思うのです。
ところで、リスケと言えば、
政府お墨付きの「緊急保証制度」が2011年3月で終了予定です。
緊急保証制度は、
銀行の中小企業向け融資を、信用保証協会が100%保証する制度です。
つまり、貸し倒れに関して、銀行は一切のリスクを持たないと言う事です。
4月以降は、信用保証協会が80%保証する、
したがって、銀行は20%のリスクを背負う一般保証に戻ってしまいます。
この緊急保証制度、政府の強力な後押しで、ほとんど融資に応じています。
あと、2か月しかありません。必要ならば、今すぐ手続きしましょう。
時間掛かるし、3月は大量の駆け込み需要があるかも知れませんよ。
さあ、あとは日ごろから、銀行とのお付き合いも、上手くやっておいた方がいいですね。
支店長や、融資担当者を、フィリピンパブやクラブに連れて行き
「同じ穴のむじな」となってしまうのもいいでしょう。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。