前回の「どんな運転資金で資金繰り難を乗り切るか」では、
運転資金と言っても
・当座貸越
・増加運転資金
・納税資金と賞与資金
・その他の運転資金
などがあり、状況に応じて調達しましょう。
最後の最後、「もうダメだ!」の時には、リスケをせざるを得ない。
しかし、この場合経営改善を早期にゲキテキに行わなければ、
もう、後がないと言うか、先がないと言う話でした。
今回から3回で、どんな融資で資金繰りに対応したら良いのか、についてお話します。
「そんなもん、銀行とか、信用金庫から短期か長期の借入でしょうが」
と言われたら、話が終わってしまいます。
まあ、大体そうですが、融資の種類と言う事でご理解賜り、話を進めます。
で、融資の種類は
(1)銀行のプロパー融資
(2)信用保証協会経由の融資
(3)日本政策金融公庫の融資
(これ、昔の国民生活金融公庫とか、中小企業金融公庫が合併)
以上の三つが一般的ですね。
それ以外は、朴念仁も利用したことないので知りません。
(あるのかどうかも含めて)
第一回目は銀行のプロパー融資について
プロパー融資とは、銀行が100%自己責任でお金を貸し出してくれることです。
つまり万一、社長さんの会社の融資が焦げ付いた場合、
銀行が、融資残高の100%、損失を被ってしまう事になります。
(まあ、自己責任と言っても、大体担保取ってますから、いくらかは回収してますが)
だから、この融資が一番厳しく審査されます。
どんな方法と基準で審査するのでしょう。
融資を申し込むと、
銀行の融資担当さん、「社長さん、決算書のコピーください」となります。
融資担当さん、支店に持ち帰り分析するのかと思いきや、
そのまま本部にデータを送り、後は本部の融資審査部あたりで
コンピュータを「カチャカチャ」。
出てきた分析結果の事を、スコアリングとか言うそうです。
朴念仁、以前に、支店長からスコアリング見せてもらいました。
で、それ見ながら支店長、自分なりの分析をしようとしてましたが、
「社長、資金繰り良くなってますね」などと。
全く反対ですよ。資金繰りがきつくなりそうだから、融資を申し込んだのに。
つまり、流動比率は良かったんですが、
売上債権/支払債務比率が悪化してきたのですね。
あまり分かってないんですね。分析は複合的ですから。
まあ、その程度の支店長もいるってことでしょう。
このあたりの理屈は、前々回の
「資金繰りひっ迫・支払能力悪化は倒産の予兆」をご覧ください。
さて、このスコアリングを基本に、
支店サイドで、かなり(?)主観的に判断を加え、融資を決定する訳ですね。
当然、決算書の分析に基づくスコアリングが、圧倒的に重視されますが、
そこは、
お互いの事情や、
日ごろ人間関係で、
善意の主観的判断により、融資となるケースも多いんですよ。
特に、信用金庫は、この主観的判断を尊重してくれるかな?
さて、プロパー融資の審査基準で一番重視されるのが、
税引後の当期利益です。これが大きいほど融資審査は有利になります。
次に見るのが、現預金残高と流動比率(当座比率)ですが、
これも、多いに越したことはありません。
「利益が大きくて、現預金が多くて、流動比率が高い方が良い」
「なんじゃ、それは」と言いたくなりますよね。
あとは、拙ブログでも主張しているように、
銀行や信用金庫の融資審査は、貸借対照表をより重視しているようです。
もちろん、真っ先に見るのは自己資本ですよ。
その後貸借対照表の全部をチェックし、分析していきます。
でも、さすが銀行さん
決算書に示されたそのままを、額面通りに審査するんじゃないんですね。
純資産、言いかえれば、ほんとうの資産を探しだします。
先ずはマイナス査定の要素から
@売掛金の中に回収不能な不良債権はないか
A在庫は適正水準か、つまり水増ししてないか
B無駄な固定資産がないか
(ポルシェなんぞを、固定資産に計上しないでくださいね)
C開発費や権利金などの繰り延べ資産がどのくらいか
D出資金や長期の貸付金などの長期前払い費用はどのくらいか
E社長貸付金はないか
銀行さんは、決算書の資産の部から以上のものを差し引いて、
査定をしているんですね。
これが、銀行さんいわく、純資産なのです。
「資産のうち換金性の乏しいものは資産じゃない」と言う見方です。
次にプラス査定の要素から
実は、これあんまりないと言うか、固定負債の部に計上されている
F長期の役員借入金
くらいでしょうね。
つまり、社長さんに返済しない(あるいは出来ない)塩漬けの借入金は、
自己資本の一部とみなしてくれます。
まあ、こうして、資産を精査、プラス、マイナスして査定する訳です。
純資産=資産−(@+A+B+C+D+E)+F
さて、これでは貸借対照表の左右がバランスしなくなってしまいますよね。
そこで、資産を減らした分、自己資本を減らしてバランスさせる訳です。
結局、行きつくところ、正味の自己資本はどうか、が審査基準なんです。
朴念仁が何度も言っている
「経営は自己資本の充実にあり」と言う事です。
今度は、損益計算書をチェックします。
あれこれありそうですが、粗利益とかは「ふ〜ん」てな感じですよ。
見るところは一点、減価償却費です。
いつも、朴念仁がしつこく言っている
【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】
【税引後当期利益>借入金元金返済額−減価償却費】
ですね。
(実はこの形になっていれば、どんな融資もフリーパスだと思いますよ)
付け加えれば役員報酬ですか。
場合によっては、同居家族の収入もすべて含めて、と言う事になりますが。
つまり、万が一返済が苦しくなった時、どこまで役員報酬の減額が可能か。
どれだけあれば、社長さんの家族が食べていけるか、と言う意味なんですけどね。
なにか、こうなると重苦しい、情けない感じです。
どうも、銀行のプロパー融資は、やっぱり優良企業向けですか?
もちろん融資がOKでも、金利は企業により違います。
銀行のリスクが小さいほど、金利は優遇されます。
ちなみに、「銀行はあなたの会社をこう格付けする」の中で、債権者区分のうち
正常先と言うのがありましたが、正常先=優良企業ではありませんので、一言。
最後に、融資の申し込みは一行だけでなく、複数行に申し込みましょう。
「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」何て言ったら失礼ですか?
銀行にも競争心理がありますから、金利も下がってきますよ。
さて、銀行のプロパー融資が無理な場合どうするのか。
そこで次回は、信用保証協会経由の融資の話です。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
オヤジの記憶が正しかったら開業3年未満の会社は出来なかったと思います
間違ってたらごめんなさい
そうですね。
融資申し込みの時、法人の場合なら、
最近2期分の確定申告書と、決算書が必要となります。
また、条件がありますが、創業・開業資金の融資にも応じています。