随分昔の話になりますが、社長仲間のゴルフコンペで、
「役員報酬はどれくらい取ったらいいんだろうか?」と、
皆に投げかけた社長さんがいました。
結局、これといった答えはなかったんですね。
「最低でも、月150万円取らなきゃやってられない」
「そんなもん、多いに越したことはない」
「仕事の内容考えたら、とても十分とは言えない」
「ここまで欲しいと思ったところでしょう」
などなど、大変主観的なご意見ばかりでした。
この中には、年商数億円で、給料4000万円取っている社長もいましたが。
随分と優良企業ですね。
そんな、会話をふと思い出しながら、
「社長の給料を客観的に判断する物差しはないのかな?」と思い
朴念仁も、どんな結論になるか分からず、
「社長の給料はどれくらい」のテーマで、今まさに記事を書きつつあります。
全く無責任なブログですよね!
さて、拙ブログで何度も申し上げてきました。
健全な会社になるためには、自己資本の充実が最も大切なことであると。
そのためには、次のようになっていなければいけない。
【獲得利益>借入金元金返済額+納税額−減価償却費】
そこで、
中小企業の場合、ほとんどオーナー社長さんですよね。
であるならば、
社長の給料である役員報酬も、利益の内であると考えることができませんか?
すると、上記の式は、こんな風にも考えられますよね。
自己資本を減少させずに得ることの出来る本来可能な社長の給料
=(税引前当期利益+社長の給料)−(借入金元金返済額+納税額−減価償却費)
(合ってるかな?)
で、ちょっと待った!
例えば、決算が終わり次のような結果の場合です。
税引前当期利益=−500万円
社長の給料=1000万円
借入金元金返済額+納税額−減価償却費=300万円
本来可能な社長の給料
=(税引前当期利益+社長の給料)−(借入金元金返済額+納税額−減価償却費
より、
本来可能な社長の給料
=(−500万円+1000万円)−300万円=200万円
つまり、社長は1000万円の給料を取ったが、これでは自己資本が減少してしまう、
したがって、この期は200万円の給料が妥当であった。
と言うことになってしまいますね。
「これじゃ、場合によっては、社長さんの給料が0円になってしまう」
いくら、本来こうあるべきだと言ってもね。
あとは、付加価値額の何%が良いとか、なんてありますが
どうも説得力に欠けていますので、説明しません。
つまり、結局のところですね、
「会社が儲かっていなければ、役員報酬は増額できない」
という、当たり前の結論になってしまいました。
でも、社長さんの中には、赤字続きでも役員報酬の減額もせず、
堂々としていらっしゃる人もいます。立派です。
とはいっても、社長さん、役員報酬外の隠れた報酬ありますから。
社有車(場合によっては奥様の車まで)
接待交際費(プライベートな飲食やゴルフ、自家用なのに贈答品とか)
会議費(一人5000円までなら接待交差費としなくて良いですからね)
出張旅費(愛人との隠密旅行)
個人所有のパソコンや携帯電話
研修施設とは名ばかりの別荘とか絵画
など、年間1000万円以上使っている社長さんも多いことでしょう。
いい悪いは別にして、これも給料の一部ですね?
最後に、儲かっている社長さんの場合は、また悩ましい問題があります。
社長個人の所得税と、法人税のバランスです。
現在特例措置で、中小企業の法人税率は、
最終利益800万円以下は18%、800万円超の部分が30%となっています。
これが、新税制大綱では(特例措置も3年間延長)、新年度より、
最終利益800万円以下は15%、800万円超の部分が25.5%
となることが決まっています。
こうなってくると、社長個人の所得税より、
法人税のほうが少なくなる場合も、出てくるんじゃないんでしょうか?
(朴念仁は税の専門家ではないので、是非、顧問税理士さんにご相談ください)
この問題の本質は、損得もありますが、
役員報酬をある一定水準において、内部留保の蓄積に重点を置くかどうかですね。
予想通り、曖昧な結論になりました。申し訳ありません。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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