前回、「社長の給料はどれくらい」の記事の中で、
「社長の給料を客観的に判断する物差しはないのかな?」なんて話をしました。
ならば、
「会社の健全性はどうか、経営状態はどうか、を客観的に判断する物差し」
について、もう一度、おさらいしておかなければいけないでしょうね。
実は、上記の事については、拙ブログで何度もお話しています。
ですから、是非過去の記事をご覧になっていただければ、ありがたいのですが。
今回は、さらっと流します。
(朴念仁、また手抜きしていると言わないでください)
「銀行はあなたの会社こう格付けする」の中でお話しした
銀行のスコアリングなども、大体同じような指標で分析していると思います。
さて、
拙ブログをお読みの方は、朴念仁が最初に何を言うのか、もうお分かりですね。
1)会社の安全性を見るの物差し
そうです、一番目の物差しは、何といっても自己資本比率ですね。
自己資本比率=自己資本÷資産(総資本)
▼
健全な会社はこの比率が
自己資本÷資産(総資本)≧40%〜60%であることが望ましい。
▼
危ない会社はこの比率が
自己資本÷資産(総資本)≦10%のような状態で債務超過目前。
朴念仁は、
自己資本比率と、自己資本の額が増え続けて行けば、それだけで問題ない。
そう、考えています。
ただし、会社の資産価値が高くなるので、
事業承継を考えた場合、相続税などの厄介な問題も出てきますね。
反対に、債務超過の会社なんて、後継者がいなくて廃業しようと思っても、
廃業しても全く売却資産が足りない訳ですから、さらに借金だけ残ってしまいますね。
また、中小企業の場合、社長さん自身が保証人になっているでしょうから、
こうなると、会社も個人も自己破産と言う事になってしまいますよ。
これじゃ廃業もままならない。
その他
負債比率=(流動負債+固定負債+引当金)÷自己資本
借入金/総資本比率=(短期借入金+長期借入金)÷総資本
借入金/預金倍率=(短期借入金+長期借入金+割引手形)÷(定期預金・積金)
(ここは、けっこう銀行さん気にしていると思います)
損益分岐点
などですが、何れも低い方が安全性が高いことになります。
以上の分析は、会社がどの程度の環境変化に耐えられるかを見る指標です。
社長さんの会社の体力を見る指標、と言ってもいいでしょう。
つまり、景気が悪くて売上が落ち込んでいても、
どのくらい持ち堪えることが出来るのかと言う事ですね。
また、損益分岐点などは、
どの程度売り上げが落ちたら赤字になるのかが分かりますよね。
以上は過去記事の、
「健全な会社、危ない会社その1」
「健全な会社、危ない会社その2」
「資金繰りひっ迫・支払能力悪化は倒産の予兆」
「損益分岐点の活用で経営が激変する:Q&A方式で解説」
(損益分岐点については何回か詳しく説明していますが、これは総集編です)
などをご覧ください。分かり易く説明してあります。
2)会社の支払能力を見るの物差し
流動比率=流動資産÷流動負債
当座比率=当座資産÷流動負債
売上債権/支払債務比率=(受取手形+売掛金)÷(支払手形+買掛金)
固定比率=固定資産÷自己資本
固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)
などです。
まさに支払能力ですから、日々の金回り、資金繰りがどうかを見る指標です。
これらの指標が悪いと、ほとんど資金繰りに追われた状態でしょう。
こちらもまた過去記事の、
「健全な会社、危ない会社その2」
「資金繰りひっ迫・支払能力悪化は倒産の予兆」
をご覧ください。分かり易く説明してあります。
3)会社の収益力を見る物差し
売上総利益率
売上高営業利益率
売上高経常利益率
限界利益率
(以上割り算の分母は全て売上高なので式省略)
総資本利益率=経常利益÷総資本
などです。
これは、説明いらないと思います。
これらの数値が高ければ高いほど、いい会社に決まってますものね。
収益率が高ければ、その他の指標も、おのずと良くなってくるのですから。
4)会社の活動力を見るの物差し
総資本回転率=売上高÷総資本
固定資産回転率=売上高÷固定資産
商品回転率=売上高÷商品在庫高
売上債権回転率=売上高÷(受取手形+売掛金)
支払債務回転率=仕入高÷(支払手形+買掛金)
などです。
これらは、投下した資本が、効率よく利用されているかを見る指標です。
つまり、計画性のない投資、売上不振により指標が悪化します。
・必要以上の設備投資はしていないか
・休んでいる機械・設備はないか
・事業に必要のない土地や別荘に投資してないか
・社有車としてポルシェやベンツなどを購入していないか
・過剰在庫はないか
・過剰商品在庫はないか
「ある」とお答えの社長さん、無駄にお金を使いすぎて、あるいは売上不振で、
確実に指標が悪化しているはずです。
売上債権回転率と支払債務回転率は、資金の流れの速さを見ることができます。
資金繰りに直接節関係してくる指標ですね。
支払債務回転率は、不渡り手形を出したら、実質会社は終わりなので
特に気をつけたいところです。
5)会社の生産性を見るの物差し
付加価値率=付加価値÷売上高
付加価値につて
商業:付加価値=売上高−売上原価
工業:付加価値=売上高−製品仕入高−(原材料+外注費)
(売上高−製品仕入高は加工高という)
労働生産性=付加価値÷平均従業員数
資本生産性(商業)=付加価値÷有形固定資産
資本生産性(工業)=付加価値÷機械設備
作業時間稼働率=有効作業時間÷実働時間
労働分配率=総人件費÷付加価値
坪当たり売上高=売上高÷売場面積
客席回転率=利用客数÷客席数
などです。
これも、分かりますね。
ただ、決算書からは分からない分析もあります。
この場合、日ごろからデータを取る仕組みが欲しい所です。
製造業なら、作業時間稼働率が分からなければ、原価計算もできませんよね。
あるいは、販売戦略が正しいかどうかの検討もできないでしょう。
以上が、
「会社の健全性はどうか、経営状態はどうか、を客観的に判断する物差し」
と言う事になります。
これらを総合的に分析し、企業の総合力やバランスをみるのです。
でも、朴念仁も一々全部分析しません、面倒ですから。
だから、この中で特に重要なところだけを、社長さんも気にしたら良いと思います。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。