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2011年02月02日

これが弱者の経営戦略の決定版−「スズキ」−

今日は、朴念仁です。


前回は「日本航空にもナンバーワン戦略があったのか!」の中で
今は、企業の勝敗は一人の勝者と、その他の敗者に色分けされる、
一人勝ち競争をしている時代である。

つまり、勝者は一人(一社)の強者だけで、その他はすべて弱者である。


しかし、弱者が生き残る方法が唯一ある。

弱者が生き残るためには、
選択して、
差別化をして、
限られた経営資源を集中して、
自社の強みを見つけ、磨きをかけ、一番になることである。


この強みの事を、
コアコンピタンス:他社に真似できない技術、サービス、ノウハウなどの核となる能力
USP(Unique Selling Proposition):独自の売り
と言い、強みを生かした中小企業戦略を、「弱者の経営戦略」と定義する。


こんな話をさせていただきました。


今後は、中小企業の「弱者の経営戦略」とは、
どんな事であるのか、またそれをどのように構築したら良いのか、
などのお話をしていこうと思います。

しかし、今回は弱者の経営戦略として、不滅のモデルケースと言える、
「スズキ」の経営戦略をお伝えしたいと思います。


スズキ、弱者の差別化戦略−アルト−

1979年、スズキはアルトを発売した。
しかし、当時のスズキのシェアは国内自動車メーカー12社中見事にビリ、
2輪車部門でもホンダ、ヤマハの後塵を拝していた。


差別化戦略その1 徹底した価格戦略

アルト(ALTO)のネーミングの由来は
あるときは買物に
あるときは通勤に
あるときはドライブに
だからアルト。

ちなみにイタリア語で、アルトは秀でた、優れたという意味がある。

当時軽自動車といえば、銀行の法人担当営業が、
得意先を訪問するために選択する車のように、
商用向けに対応する車という位置づけが一般的であった。

そこに、スズキは
「女性のための軽自動車」という差別化戦略でアルトを投入した。

しかも、乗用車ではなく、商用車のカテゴリーで。

「アルト47万円」という低価格をキャッチフレーズにしたテレビCMは、
自動車業界の常識破りであった。

その徹底した価格戦略とは

1.燃費が良くて維持費が安い、購入費が安い
  → 軽自動車選択の焦点とする

2.一種類のグレードに統一した
  → 女性客が選択に迷わない
  → 生産ラインのコストダウンができる

3.商用車にすることで物品税がいらない(当時)
  → 販売価格が下がる

4.陸送費による地域販売価格の解消
  → 「アルト47万円」CMを可能にする全国統一価格

5.商用車でありながら乗用車の快適性と居住性の追及
  → 価格割安感の提供

発売まもなく、月間販売台数3500台の予想をはるかに上回る、
2万台超というヒット商品となった。


差別化戦略その2 競争フィールド−顧客層−の特化

当時の時代背景でもっとも象徴的な出来事が、第二次オイルショックである。
それによりガソリン価格は高騰した。

必然的に、燃費の良い車が求められる下地が、自動車の市場に創出された。
軽自動車にとっては追い風である。

そこに、子供の送迎用などの用途に、
女性ユーザーをターゲットとして絞り込んだアルトが発売された。

アルトの開発コンセプトは

燃費が良くて
維持費が安くて
居住性が良い

「女性のための軽自動車」

シェア、ビリの落ちこぼれスズキは、弱者であるがゆえに
競争フィールドの細分化つまり、顧客層を特化
した。


差別化戦略その3 ナンバーワンになる

スズキの競争フィールドは国内だけではなかった。
日本の自動車メーカーでは始めてインド市場に打って出た。

1983年、国内で大ヒットしたアルトの、インドでの生産を開始したのである。

インド進出を決定した条件は、国土が広く、人口が多い、
中国と違い政情が安定している、の2点であった。

決定的な理由はインドには現地自動車メーカーがあり、そことの合弁で
生産をスタートできたからである。

それでもなぜ未知数のインドなのか?

国内ではビリのメーカーが、当時の強者、トヨタやニッサンの得意とす
るフィールドを避けて、インドでナンバーワンになることを目指した。


スズキの弱者の経営戦略は、
小さな会社であっても、何処かの競争領域でナンバーワンになることができる、
また目指さなければ生き残っていけないという、示唆を与えてくれるものです。

なお、現在スズキは、インドでなおもトップのシェアを保ち続けながら、
アジアをターゲットに、日本と企画の異なるアジア戦略車を販売している。


以上、どうしようもなかった弱者のスズキは、

1)徹底した価格戦略
2)国内の競争フィールドで顧客層を特化した戦略
3)国内を避け国外の競争フィールド=インドでシェア一番になるナンバーワン戦略
の弱者の差別化経営戦略
で、
しっかりとそのポジションを確立したのです。


最近、スズキの鈴木修会長兼社長が

「インドの工場の弱点は明白です。市場が右肩上がりで拡大し、
増産に追われているから本当の改善点が見えてこない」

と言う、ある意味贅沢な悩みを語っていました。

また、スズキがさらに海外生産に大きく舵を切ったら、
地元静岡に本社を置く、中小部品メーカーさんが生き残れないのでは
の問いにこう言ってました。

スズキだって自動車業界では中小企業なんです

う〜ん。意味が深いですね!

後は、朴念仁が余計なことを言わない方が良いと思うので、今回はこれで終わります。

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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。


posted by 朴念仁 at 06:41| Comment(2) | 差別化経営戦略(儲けの理由) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本もチョット暖かくなりました
何時も勉強になります

勤め人の頃イロイロマーケティング等でランチェスターの弱者の戦略は経験しました
今、勤め人をやめてからは、弱者の戦略は
もっと細分化した極弱者の戦略(笑)
例えば「とうちゃんかあちゃん八百屋」がどうしたらイオンに客を盗られないかを真剣に考えるように
もっと細かな施策が大変です(笑)
大手の出来ない隙間戦略、資本に限界のある極小資本の施策が・・・頭の痛いところです

サラリーマン時代を思い出しました(笑)


Posted by アンポン at 2011年02月02日 13:26
アンポンさんへ
いつもありがとうございます。

ランチェスターの第一法則により、商売をやってみても、そう簡単ではないですよね。

ご存知かと存じますが、SWOT分析を丁寧にやってみることから始めるのが、
一番の近道のように思います。

風邪などひかぬよう、仕事頑張ってくださいね!

Posted by 朴念仁 at 2011年02月02日 15:19
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