弱者の差別化戦略のうち、
その戦い方は前回の「儲からないのは場所と方法に原因があります」で
中小企業=弱者は細分化された局面で戦わざるを得ない。
細分化された局面で戦うとは
1)局地戦で戦う
2)一騎撃ち戦で戦う
3)接近戦で戦う
4)一点集中主義に徹する
と言うお話をさせてもらいました。
しかし、細分化された競争局面に勝負を持ち込んでも、
相変わらずランチェスターの言う兵力数にあたる、
量的経営資源
資金力、生産設備の量、生産拠点、営業マンの数、営業拠点
などでは、大企業や上位企業には勝てません。
そのためにランチェスターの言う武器効率にあたる、
質的経営資源
商品力、技術力、サービス力、情報力、営業マンの資質、信用
などの性能を高めて、差別化戦略をとることになります。
よく、高品質などをうたい文句にしているのを見かけます。
それらは顧客にとってあたり前のことであって、差別化にはなっていません。
差別化は、「他社に比べてどのように高品質か」が、問われているのです。
競争局面の細分化と合わせて、
差別化は弱者にとっての基本的な経営戦略になります。
質的経営資源では、次のようなことが弱者の差別化ポイントとなります。
製品の差別化
自社製品の機能や、品質、性能、用途などを他社と差別化する。
→企業の技術力が鍵となる。
商品の差別化
価格、ネーミング、パッケージ、サイズ、色などで他社と差別化する。
→企画力・アイデア力・センスが鍵となる。
サービスの差別化
商品に対する販促キャンペーン、値引き、アフターサービス。
顧客にたいするサービス、情報など、アドバイス、クレーム対応。
→顧客の不満解消が鍵となる。
訪問の差別化
訪問では、質とともに回数を増やすことによる印象付けを狙う。
→時間管理が鍵となる。
社長自らがトップセールスをする。
→社長の熱意と信用と豊富な経験が鍵となる。
広告・販促の差別化
ユニークなチラシやパンフレット、DM、手紙などで差別化する。
→全社的コンセプト統一が鍵となる。
ホームページ、ブログ、FB、ツイッターなどを積極的に活用する。
→費用を掛けないで効果を得ることが鍵となる。
チャネルの差別化
今まで業界が利用してなかった(今まで社長が顧客と考えていなかった)
販売先の開拓や、競合相手と違う流通経路の確保。
→幅広い情報収集力が鍵となる。
差別化は、
・新技術
・ライバルとは違う方針
・ライバルと違うターゲット
・ライバルが気づかない新しい発想
・社長の思いの伝わる、自己満足ではないこだわり
などの要素が盛り込まれていなければなりません。
誰かが成功したので真似をするというのは、強者の戦略です。
真似をしている限り、強者に勝つ事は決してないのです。
ここで、真似が強者の戦略ならば、あなたが折角差別化しても、
強者はあなたの差別化戦略を真似してくるはずです。
つまり、弱者の差別化を無効にしてしまう戦略をとってきます。
これを弱者の差別化に対応する、強者のミート戦略といいます。
強者は必ず数ヶ月で弱者の差別化にミートしてきます。
やがて弱者のシェアを奪い取ってしまいます。
それでは、結局弱者は弱者のままなのか。
そうではありません。
いくつか複合して差別化すれば、
・焦点がぼけたり、
・ミートするのに時間がかったりなどで、
強者のミート戦略をかわすことができます。
たまたま前回お伝えした
「「モスの差別化戦略とは何?」と突然の質問にビックリ!」の中で、
モスバーガーの
マクドナルドに対する複合化差別化戦略の一例を取り上げました。
モスバーガーは
・立地
・顧客層の絞り込み
・厳選された材料
・ヘルシー=健康志向を謳う
・食の安全の追求
・フランチャイズ展開
などで、高価格・高品質との複合化差別化戦略を取っている
と言う内容でした。
これにより、マクドナルドとの済み分け、
つまり、強者のミート戦略をかわす独自路線の差別化戦略で
生き残り、成長してきた訳ですね。
また、「これが弱者の経営戦略の決定版−「スズキ」−」の中でも
スズキは、
・徹底した価格戦略
・国内の競争フィールドで顧客層を特化した戦略
・国内を避け国外の競争フィールド=インドでシェア一番になるナンバーワン戦略
の弱者の差別化経営戦略で、しっかりとそのポジションを確立した
と言う内容でした。
これらは、
ランチェスター戦略の戦いの典型的な例ではないでしょうか。
つまり、社長さんが目指すところは
弱者の差別化経営戦略により、
「小さくてもエクセレント・カンパニーになる」
こう言うことですよね!
ところで次回はまた、差別化戦略の事例と言うことで
アサヒビール「スーパードライ」開発秘話でも行っちゃいましょうかね。
これもまた、面白いですよ。
スーパードライ開発担当を講師に招き、直接聞いた話ですから。
ご期待くださいね!
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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