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2011年03月17日

低価格戦略でも同じ利益を確保するためには

今日は、朴念仁です。


ここ数日、震災にについて思うことなどを投稿してまいりましたが、
本日より経営ブログを再開いたします。


不景気で収入が減少した。
だから消費者の財布の中身=使えるお金が減ってしまった訳ですね。


こういった状況で、
一つの解決策として低価格戦略で対応しようとする企業が増えています。

拙ブログで紹介した
「焼酎0円居酒屋」や「女将のいない旅館」などが象徴的存在ではないでしょうか。


今回は低価格戦略の善し悪しについてのお話ではありません。


低価格戦略を採用しようとする場合、

・総原価がどう変わるのか
・利益がどう変わるのか
・客単価がどう変わるのか
・集客数がどのくらい増えるのか
・お客様のリピート率がどのくらい増えるのか
などの仮説を立てる必要があります。

これにより採算が合うのかどうか判断しなければなりません。
少なくとも採算が取れないのであれば、低価格戦略は成り立ちませんよね。


でも、ちょっと待ってください。
上記の仮説を組み立てる要素として、
「総原価と利益はどう変わるのか」と表現させていただきました。

「どう変わるのか」の意味は、
低価格(値下げ)にすれば
そ必ず利益率が低下すると決めつけたくない
からです。


損益分岐点の計算からシミュレーションをしてみたいと思います。

仮に株式会社ABCは自社製造の製品Aだけを販売しているものとします。

現状
製品Aの従来の販売価格は1,000円
月間の販売数量は10,000個
変動比率35%
固定費600万円
の場合

現状の変動損益計算書は
売上高 :10,000,000円
変動費 : 3,500,000円(変動比率35%)
限界利益: 6,500,000円(限界利益率65%)
固定費 : 6,000,000円(固定比率60%)
経常利益:   500,000円(経常利益率5%)
となっています。


ここで、低価格戦略により販売価格を20%引き下げる予定です。
もし販売数量が変わらなければ

製品Aの値下げ後の販売価格は800円
月間の販売数量は10,000個

値下げ後の変動損益計算書は
売上高 : 8,000,000円
変動費 : 3,500,000円(変動比率43.75%)
限界利益: 4,500,000円(限界利益率56.25%)
固定費 : 6,000,000円(固定比率75%)
経常利益:△1,500,000円(経常利益率△18.75%)
となり、150万円の赤字となってしまいます。


そこで、新たな販売戦略により、
値下げによる集客効果やリピート率の向上で
月間の客数の増加、つまり販売数の増加を期待することになります。



その前に現状と、値下げ後の損益分岐点売上高を確認して見ます。

損益分岐点の公式は

損益分岐点売上高
=固定費÷(1−変動費÷売上高)
=固定費÷(1−変動比率)
=固定費÷限界利益率
でしたね。


現状の損益分岐点売上高は
損益分岐点売上高
=固定費÷限界利益率
=6,000,000÷65%
≒9,231,000

値下げ後の損益分岐点売上高は
損益分岐点売上高
=固定費÷限界利益率
=6,000,000÷56.25%
≒10,667,000
となります。


ここで、値下げ後も現状と同じ利益を維持するために必要な売上高は

必要売上高=(固定費+必要利益)÷限界利益率で求められますから
=(6,000,000+500,000)÷56.25%
≒11,556,000
となります。

必要販売数量は
必要販売数量=必要売上高÷販売価格
ですから
=11,556,000÷800
≒14,445個

14,445個÷10,000個≒144.5%で
値下げ前のなんと45%も余分に販売しないと
現状と同じ利益が確保できないことが分かります。


そこで、低価格戦略を採用する場合は固定費の削減が重要な要素になります。

仮に販売価格を1,000円から800円に値下げする場合
同時に固定費を100万円削減できる場合はどうでしょうか。

固定費を100万円削減し現状と同じ50万円の利益を確保する場合

必要売上高=(固定費−固定費削減額+必要利益)÷限界利益率
=(6,000,000−1,000,000+500,000)÷56.25%
=5,500,000÷56.25%
≒9,778,000

必要販売数量は
必要販売数量=必要売上高÷販売価格

=9,778,000÷800
≒12,223個
となります。

これでもまだ22%余分に販売しなければなりませんが
20%と値下げし固定費を100万円削減した場合の変動損益計算書は
売上高 : 9,778,000円
変動費 : 4,278,000円(変動比率43.75%)
限界利益: 5,500,000円(限界利益率56.25%)
固定費 : 5,000,000円(固定比率51.14%)
経常利益:   500,000円(経常利益率5.11%)
となり、現状と同じ50万円の利益の獲得できています。


もちろん変動比率の削減が出来れば
もっと計画販売数量を低下させるか、もっと利益を生み出すこともできます。



しかしながら
低価格戦略を採用する場合、
・かなり緻密な仮説
・固定費が大幅に削減できる仕組み
が必要になるでしょう。



あわせて、低価格戦略の効果を最大限に引き出すために
AMTULやAIDMAを利用した販売戦略やマーケティングが求められます。


低価格戦略で成功しているところは
・徹底して固定費を削減する
・販売戦略を充実させる
・値下げ後の商品価値をさらに高める
・別の高付加価値商品でわきを固める
などを複合して生き残り差別化戦略を取っています。



なお、損益分岐点を利用した販売数量シミュレーションは
イベントなどで
・販促費を投入したり
・値引き販売を実施する
場合の費用対効果の仮説にも利用できます。


安易な値引、低価格戦略はとても危険です。

いきなり実施するのではなく
・限定したテストケースにより
・しっかりとした仮説と検証を繰り返す
ことで
利益の向上ができる低価格戦略が、可能になるかどうかを見極めて欲しいと思います。

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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。


posted by 朴念仁 at 08:17| Comment(0) | 差別化経営戦略(儲けの理由) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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