2009年から朴念仁がコンサルしている、電気設備業の会社があります。
創業社長が40代の若さで亡くなり
その後、奥様が社長として経営のかじ取りをしていました。
しかし、その奥様も不慮の死を遂げられ、この会社は存亡の危機を迎えていました。
その後、営業部長が社長となり、会社を存続させることになった訳です。
創業社長と朴念仁は同級生で、
奥様も中小企業家同友会の会員仲間として、お付き合いをさせていただきました。
そんな関係もあり、会社を訪問し、新社長から色々お話を伺い
決算書を拝見させていただき、結局、半ば強引に、いやむしろ強制的に
コンサルの申し出を引き受けいていただくことになりました。
コンサルを申し出た理由は
・毎期赤字経営が続き債務超過に陥っていたこと
・新社長は経営が何も分からなかったこと
・新社長は大変率直な人間であったこと
(実は彼とも以前から交友関係にありました)
などで、何とか再建のお手伝いをしたかったのです。
さて、今この会社はどうなっているのか?
社長になって初めての決算は、
経常利益率がマイナス9%。
前期決算は
久しぶりの黒字で経常利益率がプラス4%。
今期は期首から4ヵ月経過して
経常利益率が何とプラス30%。(粗利益率ではないのですよ)
実は前月までの経常利益率も26%を超えていました。
とにかくこの結果には、さすがの朴念仁も驚きました。
間違いではないかと、いただいている試算表を総点検したくらいですから。
もちろん季節変動のある業種なので
年間通したらこの利益率は維持できないでしょう。
まして、今後東北・関東大震災の影響も出てくると思われます。
それにしても、短期でここまで経営状態が変わるとは!
では、新社長は何をやったのか?
早急な黒字化が必要なので経営戦略は後回しにして
先ず、
・役員報酬削減
・事務所・倉庫の家賃削減
など可能な限りのコストダウンを実施しました。
次に、経営者として知っておくべき管理会計を勉強していただきました。
・財務諸表の見方
・社長自身が毎月試算表を読む
・毎月の経営分析(これは朴念仁が継続して行っています)
・損益計算書勘定科目の追加・変更
により、毎月の経営状態をいち早く、正確に把握できるようにし
この会社の内部留保が増加できるための、必要利益を算出しました。
そしてここからが大事なポイントなのですが、
@変動損益計算書から会社の利益構造と状態を分析できる予算作成と実績管理
A納得のできる工事請負金額を導くことができる見積原価計算
B貸借対照表から毎月の財務状態を正確に把握
を実行しています。
特に見積原価計算が正しくできることで
@請負金額において完全に同業他社と差別化でき競争力が強化された
A一つ一つの現場工事から、確実な利益を確保できるようになった
ことが、業績の回復に大きく貢献したのだと思います。
当然、新社長の頑張りが一番大きく寄与しているのは言うまでもありません。
同時に、朴念仁の提案を受けとめてくれた社長の素直さがあったのだと思います。
このままいけば、来期は債務超過から完全に脱却出来るはずです。
経営戦略は、もちろん大切ですが
@会社の必要利益を知る
A必要利益を獲得するための予算作成ができる
B製品別または現場別の合理的な原価計算ができる
事がなければいくら優れた戦略を立案しても、
健全経営への道への妨げとなるのではないでしょうか。
上記@〜Bは社長にとって、経営の必須条件であると強く感じる朴念仁です。
なお、
経営戦略やマーケティングをやらなくても良いとは言っていません。
安定的に、企業を健全経営に導くために、戦略は欠かすことのできないものです。
経営戦略と管理会計と原価計算の
どれが欠けても経営は成り立たないのではないかと思います。
今回の新社長にも、来期に向けた経営戦略を立案して貰うつもりです。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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