以前の拙ブログで
売上の大きさ=顧客満足の大きさ。
また顧客満足とは、お客様に楽しんでもらえる、喜んででもらえることである。
しかし、顧客満足は黙っていてもお客様に届く訳ではない。
したがって、商品やサービスを売るための仕組み(戦略)が必要となる。
つまりお客様に
・楽しみや喜びを提供できる商品やサービスを伝え
・使ってもらい
・お客様は満足を実感し
・やがてファンになって行き
・売上が増加する
ために仕組み(戦略)が必要になる。
いわゆる、AMTULやAIDMA。
この仕組みは」売上を三つの要素に分解して考える。
売上=顧客数×平均単価×購入頻度(来店頻度)
と言う話をさせていただきました。
詳細は
「売上の意味(売上=???)」
「売上を決定する三つの要素」
をご覧になってください。
さて、
売上=顧客数×平均単価×購入頻度(来店頻度)ですが
マーケティングを考える時に大切な売上の構成要素です。
管理会計上ではもっとシンプルに
売上=販売単価P×販売数量Q(PはPrice、QはQuantity)
となります。
管理会計では
商品や製品の販売単価Pが値上げ・値下げされた場合
@販売数量Qの増減がどのくらいあり、利益はどう変化するのか。
Aある目的の利益を獲得するためには、どのくらいの販売数量Qが必要か。
あるいは
商品や製品の販売単価Pが同じ場合に
@販売数量Qの増減により、利益はどのように変化するのか。
Aある目的の利益を獲得するためには、どのくらいの販売数量Qが必要か。
あるいは、
特売時の戦略的特売価格はどのように決定すれば良いのか。
などをシミュレーション(仮説)して
商品や製品の販売単価Pと販売数量Qを決定して行きます。
もちろん製造業であれば
このシミュレーションのためには、原価計算が施されている必要があります。
また、変動損益計算書により、変動費と固定費を管理できることも必要です。
さて、デフレ経済の中で低価格戦略を採用する企業が増えています。
「消費者は、ほんとうは買いたいものがあるのに、金がないから買えない」
だから販売数量が減少してしまう。
販売数量が減少するので、販売単価を値下げする。
簡単に言えば、デフレとはこんな現象なのですね。
しかし、販売単価の値下げは
商品・製品・サービスの一単位あたりの利益が減少することになり
販売数量が増えなければ、全体の利益も減少してしまいます。
ですから、値下げした場合
どのくらい販売数量が増えるのか、その時利益はどうなるのかを
様々な角度から、シミュレーションしなければなりません。
しかし、低価格戦略は、デフレ時には特に大変危険な戦略であると思います。
その理由は
@販売単価が利益に与える影響は、
販売数量が利益に与える影響よりも大きい。
A変動比率が高い商品・製品・サービスは低価格戦略に向いていない。
B値下げが値下げを引き起こす値下げ競争が始まると
デフレスパイラルに陥って行く。
以上の三つの危険な理由を良く理解していない限り
安易に低価格戦略を採用すべきではないでしょう。
ここでは上記@とAについて検証して見たいと思います。
原価計算により
販売数量10,000個
製品単価:200円
変動費単価:60円
固定単価;130円
一個あたり利益:10円
の製品について検証して見ましょう。
現状10,000個販売で100,000円の利益が出ています。
製品価格を10%値下げした場合
販売数量が同じならば、100,000円の赤字となります。

販売数量が10%減少した場合
製品価格が同じならば、40,000円の赤字となります。

また、このケースの場合、値下げ前と同じ利益を獲得するためには
17%弱の販売数量の増加が必要となります。

同じく赤字ですが、製品価格10%値下げの方が
はるかに利益に与える影響が大きいことがわかります。
つぎに、上記モデルケースと違い、変動比率が高い製品の場合はどうでしょう。
原価計算により
販売数量10,000個
製品単価:200円
変動費単価:120円
固定単価;70円
一個あたり利益:10円
の製品について検証して見ましょう。
変動損益計算書の構造が違っていても、
現状10,000個販売で100,000円の利益が出ています。
製品価格を10%値下げした場合
販売数量が同じならば、100,000円の赤字となります。

販売数量が10%減少した場合
製品価格が同じならば、20,000円の黒字となっています。

また、このケースの場合、値下げ前と同じ利益を獲得するためには
34%弱の販売数量の増加が必要となります。

やはり、製品価格10%値下げの方が
はるかに利益に与える影響が大きいことがわかります。
ただし、その影響度は
変動比率が小さい製品に比べてはるかに大きいことが分かります。
低価格戦略を採用する場合
@販売単価が利益に与える影響は、
販売数量が利益に与える影響よりも大きい。
A変動比率が高い商品・製品・サービスは低価格戦略に向いていない。
と言うことがお分かりいただけましたでしょうか。
反対の意味で言えばこのシミュレーションは、
販売数量を10%増加するより
販売単価を10%値上げしたほうが
より大きい利益が得られると言うことになります。
自社の変動損益構造はどうなっているのか。
販売価格・販売数量の増減は、利益にどのような影響を与えるのか。
こんなことを仮説を立て、検証するのが管理会計なのです。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。