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2011年06月27日

TPPは日本にとって有益なのか

今日は、朴念仁です。


TPP(Trans Pacific Partnership)
環太平洋経済協定あるいは環太平洋戦略的経済連携協定などと訳されています。

当初、ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国で始まり
現在はペルー、ベトナム、マレーシアが加盟国となり、
オーストラリアとアメリカが交渉国、日本が未定国となっています。
(なお、台湾、フィリピンも参加を表明しているようです)


日本において、参加するか否かの議論の中心はその経済効果と農業問題となっています。
内閣府は、メリットとデメリットを合わせてGDP2.4〜3.2兆円増加
経産省は、貿易自由化のメリットを主張して、参加した場合と比べて
参加しなければGDP10.5兆円減、雇用81.2万人減
農水省は、農業が壊滅的打撃を受けるとして11.6兆円の損失、雇用320万人減
とそれぞれに経済効果を算出しています。

以上のそれぞれの試算についての正否や、農業に与える影響は
朴念仁には正直分かりませんので、このことにあまり触れるつもりはありません。


そこで、TPPの二つの疑問について考えてみたいと思います。
一つは、誰が一番得をするのか?
二つは、なぜ農業ばかりに焦点があてられるのか?



TPP9カ国と日本を含めたGDPの構成比は
アメリカが67%、日本が24%

オーストラリアが5%、その他が4%となっています。

アメリカとオーストラリアはすでに
FTA(Free Trade Agreement)自由貿易協定
を結んでいます。

アメリカからすれば、日本がTPPに参加しなければ
オーストラリアを除くその他の参加国のGDP比率はわずか4%に過ぎず、
日本が参加しないTPPは意味がない訳です。

だから、アメリカは何としてでも日本を引きづり込みたいのです。


また、上記の内閣府や経産省の好意的経済効果試算は、
参加国の90%以上のGDPを締める
日米の自由貿易を見据えた試算
であることだけは間違いないところでしょう。

シンガーポールは金融立国、ブルネイは石油で農業問題とは無縁です。
オーストラリアを除くその他の国との間にも、大きな農業問題は存在しません。

農水省もアメリカとオーストラリアとの関係で試算しているのです。

したがって日本から見れば
TPPへの参加はアメリカとの問題
と言うことになります。

となれば、
TPPは実質日米の二国間自由貿易協定のように見えてきませんか。


また、日米の経済に中国経済が計り知れない影響を与えるようになりました。
今のところ、中国や韓国はTPPに強い関心を示していません

アメリカとしては、日本がTPPに参加することでいずれ中国も引きづり込み、
アメリカ抜きでのアジアの経済発展を、阻害したい
という意図があるのかもしれません。

この時、日米間のどちらにより経済的恩恵があるのか、
あるいは、誰の思惑が一番強く働いているのか第一の疑問です。



次に、なぜ農業ばかりに焦点があてられるのかについての疑問です。

FTAは二国間で粘り強く交渉を続け、
それぞれの国にデメリットの大きい品目を例外品目とする
条件付き自由貿易協定ですが、

TPPは一切の例外品目を認めず、
段階的に関税を撤廃すると言うのが原則です。



今、日本からアメリカに輸出する場合
例えば自動車の関税が2.5%、電気・電子機器は1.7%で
非農産物の平均関税率は3.3%です。

関税が撤廃されると言っても、この程度なのです。

最近の円・ドルは、30%以上円高になっていることを考えれば
焼け石に水の関税撤廃ではないでしょうか。
また、自動車のほとんどはアメリカでの現地生産です。


また、少々古いデータになり恐縮ですが
農産物の平均輸入関税率は、11.7%です。
ちなみにインドは122%、お隣の韓国は62%、EU19%など
必ずしも貿易面では、日本が極端に農業保護政策を取って言えるとは言えません。

しかし、米は778%、小麦が252%、牛肉が38.5%ですから
これらは一見、非常に大きな影響を受けるように見えます。


ただし、農家の総収入に対する保護の割合PSE(農業保護率)を比較すると、
日本58%、EU32%、アメリカ18%
日本は内政では農業を手厚く保護しています。

農業問題は、輸入自由化より国内農業政策が抱える構造的問題の方が大きいのです。


さて、TPPを輸入自由化から考えた時
農業以外にどんな影響があるのでしょうか。

実はTPPは生産物だけではなく、
金融などのサービス、投資、人材の自由化も含まれているようです。


アメリカのTPP日本巻き込み戦略の本音は、農業ではなくこちらではないでしょうか。

金融面では、郵貯、簡易保険の狙い撃ち。
投資面では、農業そのものではなく農産物の加工と農業法人化のための一層の農地改革。


(諸外国では外国で米法人が農産物を加工し輸出しているケースが多々あります)

NAFTA(北米自由貿易協定)で、カナダの農産物の輸出量は大幅に増加しましたが
農産物加工は米企業が独占してしまい、カナダの農家が潤った訳ではありません。


また、アメリカは公共工事入札の自由化も視野に入れているようです。
今、日本はホームページ上での入札ができるようになりましたが
英文での公共工事入札情報が記載されるようになるのでしょうか。

地方の公共工事まで及ぶとすれば、市町村は大変なことになるでしょう。


人材の自由化もしかりです。
今、日本はインドネシアとフィリピンから看護師・介護士を受け入れていますが
試験は日本語で行われています。この試験も英語になるのでしょうか。
ことの功罪はともかく、日本人の看護師などの賃金が減少するかもしれません。

まさか、アメリカの弁護士も受け入れろとまでは言ってこないと思います。
日本の弁護士は国家資格なのに対して、アメリカは州ごとの資格しかありませんから。

しかし、まさかがまさかでなくなるのが、アングロサクソンの戦略思考です。
ここに、ユダヤ系金融財閥が絡んでくるから、
日本人(管直人)の悠長な考え方ではアメリカに到底太刀打ちできないのです。



TPPは、農業と食糧自給率だけの問題ではありません。
以上のような問題を十分に議論しないまま、拙速にTPPに参加することが
ほんとうに日本の国益にかなっているのでしょうか。



2月16日、日本とインドの間で包括的経済連携協定=FTAの署名がなされました。

アメリカの思惑に乗せられてTPPに参加すのではなく
地道に、しかし積極的に、二国間で例外品目を認め合うFTPやEPAを結ぶのが、
よほど日本の国益になる
と思うのですが。

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ラベル:TPP FTA 貿易 自由化
posted by 朴念仁 at 09:32| Comment(0) | どうでもいいことですが | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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