企業は赤字経営だから倒産する訳でもなく、
黒字経営でも倒産することがあります。
日本の企業の7割以上が赤字経営と言われますが
全企業の95%が中小企業なので、実質的に中小企業の70%が赤字経営です。
5年、10年と赤字経営を続けても倒産せずに、
事業を継続している会社も多いと思われます。
しかし、赤字経営の内容は企業によってかなり違ってきます。
会社は赤字でも、社長は社有車として高級車に乗り
家族も普通のサラリーマン家庭と比べて、かなりの贅沢をしています。
このような場合は、意図的に赤字にするか、
トントンの決算を組んで節税・脱税(?)しているのです。
社長の給料を増やす、高級車に乗り換える、
接待交際費と称して家族で飲み食いする、
などして極力税金を払わないようにしています。
そして個人資産を着実に蓄えて行きます。
もし会社の運転資金が必要になっても、
社長が会社にお金を貸して、会社から利息を取っています。
本末転倒のような気もしますが
このような経営者はあることを知っているのですね。
それは、
「非上場の中小企業のほんとうの利益は会社の利益と社長の給料の合計」
であると言う考え方をしており、必ずしも間違えている訳ではありません。
「会社の内部留保を蓄える代わりに、個人で内部留保する」
「会社にお金が必要な時は、個人の内部留保を取り崩す」
と言う考え方で節税のために赤字にしているのです。
だから赤字でも倒産せずに、社長の懐はますます暖かくなって行きます。
一方で、一日12時間も13時間も働いて給料はサラリーマン以下、
車も安い中古に乗り、必要なお付き合いも控えている社長がいます。
このような会社の場合は、
何とか黒字経営にしたいのですが、どうしても赤字が続いてしまいます。
社長の給料も増額できませんから、個人資産を食いつぶして行きます。
赤字なのでもちろん納税の必要はありませんが、
毎年内部留保が減少を続け、やがて債務超過に陥って行きます。
こうなると、在庫や仕掛を水増し計上し、粉飾決算を組むようになってしまいます。
政府の手厚い中小企業保護政策(?)で、
信用保証協会から借りるだけ借りて、何とか存続していますが
借入金の返済額が大きな負担となってきます。
とうとう最後の切り札「リスケ」を行い、経営は崖っぷちに来ます。
金融モラトリアムも同じことですが・・・。
最後の切り札を使ってしまったのですから
1〜2年のうちに経営改善をしないと、もうその先はありません。
今まで70%の「赤字でも倒産しない会社」であったのですが
いつまで存続できるか、ほんとうに危機的な状態にある会社です。
最後に、「黒字でも倒産する会社」の問題は、キャッシュフローです。
つまり、資金繰りがつかなくなって倒産してしまいます。
この場合も、借入金が会社の存続を左右します。
銀行は黒字会社には、本来正常な運転資金であれば融資します。
しかし、黒字でも融資を断られてしまうのは
借入金の返済能力が限界に達し、改善の見込みがないと判断されるからです。
さて、支払手形が決済できなくなることが
会社が倒産する直接的な原因の一番です。
いわゆる、不渡り手形を出してしまい倒産してしまいます。
不渡りを出すと、銀行取引が停止されます。
こうなると、商品でも材料でも現金で仕入れなければなりません。
しかし、もともと手持ち現金がないから借入しているので
仕入れ代金や、給料が支払えなくなります。
だから、倒産せざるを得ないのです。
倒産か、存続かの運命を分けるのが
一丁目一番地の経営大原則に対する経営者の認識でしょう。
この認識がないと
経営戦略がどうのこうの、マーケティングはこうであると云々しても
そもそも経営の出発点が誤っているのですから
企業を存続することが難しくなってきます。
この認識とは
「経営は内部留保の充実にある」と言うことなのです。
つまり、内部留保増加の法則
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
が達成できる経営を続ける限り、絶対に倒産しません。
中小企業の内部留保は、会社+個人でもかまいません。
だから、意図的に赤字経営をしている会社は
個人的な内部留保を充実させ、
いつでも会社に資金提供できる状態にあるのです。
今、社長さんの会社が、上記の3つのどの状態にあるのか分かりません。
しかし、どの状態であっても、
もう一度経営の大原則「内部留保の充実」に立ち返り
毎期経営戦略を練り直すのが、
存続のためにベターな道ではないでしょうか。
なぜならば、内部・外部の環境の変化で必要利益は毎年変動するからです。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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高級車では、ありませんか。
記事はわかりやすくて、良い記事ですね。
誤字は恥ずかしいことですね。
たぶん、その他の記事でも誤字・脱字があるかも知れません。
また、ご指摘ください。