「利益はなぜ必要か」
とても漠然とした問いに思われるでしょうか?
こんな問いかけをさせていただくのは、
利益の意味を正しく理解しておくことが、
企業経営の一丁目一番地であると思うからです。
さて、単に利益といっても、
1)売上総利益
2)営業利益
3)経常利益
4)税引前当期純利益
5)当期純利益
と、損益計算書に表示されています。
また、変動損益計算書では、限界利益という利益があります。
それでは、「儲かっていますか?」と尋ねられたら、
このうちの、どの利益のことを尋ねられているのでしょうか?
あるいは、「黒字になっていれば儲かっている」と言えるのでしょうか?
実は、損益計算書上の利益には、
企業の本当の利益=必要利益が表示されていません。
どの利益も、儲けを言い表していないのです。
儲けがあるとは、
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
となっている時、初めて言うことができるのです。
例え黒字経営であっても、上記の公式を満たしていない限り
企業は儲かっているとは言えません。
必要利益を満たしていれば、内部留保が増加します。
例えば毎期、必要利益を獲得できなければ、
内部留保が減少し続け、やがて債務超過に陥ってしまいます。
それでは、なぜ内部留保を充実させる必要があるのでしょうか?
内部留保の増加ができないと、
次の投資に回るお金を蓄えることができないのです。
次の投資は、借入金で賄えば良いのですか?
しかし、新たな借入金を調達すれば、
返済額が増加し、より大きい必要利益が求められます。
こう考えると
「利益はなぜ必要か」の答えは、
「利益は内部留保を充実させ、さらなる投資のために必要である」
と言うことになります。
そのために、自社の必要利益の額を正しく認識しておく必要があります。
とは言っても、
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
なので、
1)借入金返済額が増減すれば
2)売上高が増減し、納税額が増減すれば
3)設備投資や、年度が変わり減価償却費が増減すれば
必要利益が増減してしまいます。
企業経営の第一歩は、
先ず、変化する必要利益を、的確に計算することから始めなければなりません。
なお、簡単に必要利益を計算する方法は、【こちらをクリック】していただけばご説明しています。
さて、こう考えてくると、企業経営の目的も、利益を獲得することではなく
「企業経営の目的は次なる投資」と言えるのではないでしょうか。
そして、これを成長経営と言うのだと思います。
最初に申し上げました。
利益の意味を正しく理解しておくことが、企業経営の一丁目一番地です。
そして、儲かる経営、必要利益を獲得できるために
経営戦略を立案し、経営計画を策定し、自社を成長経営に導くことが
社長の責任であると思うのです。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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