前回は予算作成の目的についてでしたが、要約すると
目的−1
儲け=必要利益を獲得するための経営戦略を立案する。
目的−2
それぞれの製品や工事から、確実な儲けを得る。
目的−3
予実対比で進捗状況を追いかけ、必ず儲け=必要利益を獲得する。
と言うことでした。
詳細は、予算作成の目的と方法その1をご覧ください。
さて、今回は予算作成の方法です。
予算は、それぞれ工夫して作成していると思います。
しかし、外してはいけない二つのツボがあるのですね。
一つは、損益計算書を変動損益計算書に置き換える。
二つは、いきなり詳細予算を作成しない。
さて、変動損益計算書を作成するにあたり
損益計算書の費用を、変動費と固定費に分ける必要があります。
費用分解の方法ですが
電気料金などは基本料金が固定費で、使用料金が変動費
給料も基本給は固定費、残業代は変動費
などと分解しても良いのですが、煩雑な割にそれほど意味がないので
材料仕入れ、外注費、部品購入費、資材費、商品仕入を変動費とし、
場合によっては、運賃などを変動費として加えるくらいで良いのではないでしょうか。
その他はすべて固定費とする簡便法をお勧めいたします。
ところで、変動損益計算書はエクセルで作成しますが
損益計算書の費用科目にフラグを立てて(変動費はV、固定費はFなど)
SUMIF関数を用いれば一発で集計できます。
エクセル関数が苦手であったり、面倒ならば
簡単に変動損益計算書が作成できるプログラムを【ここをクリック】して、お使いください。
さて、変動損益計算書が作成できたら、概略予算を作成します。
概略予算は
1)売上高
2)変動費
3)固定費
がどのようになれば、
自社の必要利益を獲得できるのか、シミュレーションを繰り返します。
必要利益を獲得するとは
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
になる状態を意味しています。
予算は、必ず上記の結果にならなければなりません。
ここをはずした予算作成は、
資金繰りに苦しみ、自己資本を低下させる経営になってしまいます。
さて、例えば概略予算作成にあたり
売上高・変動費・固定費を単純に前年比○○%増とか、○○円増で決定するのは、
あまり好ましい方法ではありません。
と言うか、考え方が完全に間違えています。
そこで、予算作成の要素について説明します。
1)数量増減
受注数・販売数増減ですが、変動費はこれに連動して増減します。
これだけは、変動比率は一定で、限界利益率も変わりません。
2)販売価格増減・改定(値上げ・値下げ)
販売価格の増減は、受注数・販売数に大きく影響します。
また、増減率に応じで、変動比率が変わり、限界利益率が増減します。
3)変動費価格(仕入単価や外注単価など)の増減
変動費価格の増減は、変動比率が変化するので、限界利益率も増減します。
4)客単価の増減
業種(店舗での販売など)によっては、客単価の増減を予算化します。
この増減は、変動比率が変化するので、限界利益率も増減します。
なお、客単価を予算化する場合は、
顧客数・購入頻度を把握しておく必要があります。
つまり、売上高=顧客数×平均単価×購入頻度(来店頻度)ですね。
5)固定費の増減
概略予算ですから、大雑把な固定費の増減を決定します。
固定費の増減は、限界利益と無関係です。
経常利益だけが変化することになります。
以上を繰り返しシミュレーションして
必ず【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
になるような概略予算を作成します。
その後、科目別の詳細予算作成し、本予算とします。
ここまでのことも予算作成ツール【ここをクリック】を利用すれば簡単に実行可能です。
さて、予算作成はここで終わりではありません。
ここからは、経営計画書となりますが
部門別や店舗別予算、商品別販売数量予算、あるいは担当者別予算
に落とし込んでいく必要があります。
そして、予算達成には、実績管理が必要となります。
それぞれの進捗状況を厳しく管理し、必要利益を獲得し、健全経営を目指します。
付け加えますが
予算は、経営戦略と一体であることは、言うまでもありません。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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