「必要利益とは、これ以上の利益がないと資金繰りが苦しくなる利益のこと」
であると、「必要利益獲得予算作成で健全経営」の中でお伝えしました。
そのためには、
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
となっていることが必要です。
そして、必要売上とは、必要利益を獲得するために必要な売上高のことです。
さて、必要売上を小さくできて、なおかつ同じ利益を獲得できるのであれば
これに越したことはありませんね。
また、販売戦略にも余裕ができようと言うものです。
必要売上高は、次の
必要売上高=(固定費+必要利益)÷限界利益率の公式で求めることができます。
ここで、必要売上高を小さくするためには
@固定費を削減する
A限界利益率を大きくする
B必要利益を小さくする
ことで実現可能となります。
「固定費を削減する」は説明の必要がありませんが、一つだけ申し上げておきます。
生産ロットが大きくなれば、製品一個あたりの固定費削減が可能となります。
つまり、生産性の向上は、取りも直さず固定費削減に結びつく訳です。
では、「限界利益率を大きくする」とは、どう言うことでしょうか。
限界利益率を大きくするためには
一つは、変動比率を低減することで実現できます。
変動比率を低減するとは
・材料費の仕入価格を切り下げる
・外注単価を切り下げる
・その他の変動費科目の購入単価を切り下げる
・ロス率・返品率を低減する
ことで可能となります。
次に、販売価格を値上げすれば、限界利益率を大きくすることができます。
販売価格を値上げすれば、相対的に変動比率が低下し、限界利益率が大きくなる訳です。
経営とは、このような理屈を実現することであり
理屈とは、儲けの理由を明確にすることであり
儲けの理由は、経営戦略と経営計画で実現することになります。
この理屈をシミュレーションするのが予算であり、原価計算なのです。
理屈をシミュレーションできるツール【ここをクリック】
をお使いただければ、儲けの理由が明確になります。
最後の、必要利益を小さくするためには、
「資金繰りに苦しむ根本原因」中で申し上げた通り
借入金返済額を小さくすれば良いのです。
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
の借入金返済額が小さくなれば、自ずと必要利益を小さくできます。
そもそも、黒字でも資金繰りが苦しくなる原因は、
必要利益と経常利益のギャップが大きすぎるからです。
必要利益を小さくできれば
必要売上を小さくできるばかりでなく、資金繰りも楽になってきます。
それでは、どうしたら借入金返済額を小さくできるのでしょうか。
必要利益を一番小さくするためには、借入金の返済を行わないことです。
リスケをすれば、1年間返済を止めることができます。
しかし、リスケは2度はできないので、この間に経営改善をしなければなりません。
次に、多くの企業は、複数の銀行から複数の融資を受けていると思います。
もし借入残高が1億円で、毎年2千万円返済していれば、5年で返済が完了します。
しかし、借換えをして融資を一本にまとめ返済期限を7年に延長できれば
年間の返済額は約1428万円となり、572万円返済額を圧縮できます。
つまり、その分必要利益を小さくすることができます。
もちろん、銀行との粘り強い交渉が必要となるかも知れませんが
必要利益が小さくなり、必要売上が小さくなり、資金繰りも楽にあるのであれば
銀行交渉も苦にならないのでは・・・?
余談になりますが、資金繰り改善のためだけであれば
当座貸越を利用すれば、返済の必要がありません。
また、現実には手形貸付の場合、6ヶ月や1年ごとに手形を書き換えれば
これも、返済の必要がありません。いわゆるコロガシ融資ですね。
また、新規の借り入れをする場合、できるだけ長期にすれば
毎年の返済額負担が小さくなり、必要利益を小さく抑えることができます。
利息負担が増えますが、返済額負担の方がはるかに大きいのです。
以上の理屈を実現すれば、必ず必要売上を小さくでき
今までより、はるかに経営が楽になるはずです。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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