「減価償却のことが良く分かります」で、
「資産を借入金で取得する場合に
毎年の減価償却費と、毎年の借入金返済額によっては
キャッシュフローが悪化し、資金繰りが苦しくなる。」
「つまり、借入金の返済期間が、極端に減価償却年数より短くなってしまうと
キャッシュフローが悪化し、資金繰りがきつくなってしまう。」
と、お伝えしました。
資金繰りが苦しくならないための黄金公式は、
必要利益>(借入金元金返済額+納税額−減価償却費)
ですが
⇒(減価償却費+必要利益)>(借入金元金返済額+納税額)
のように置き換えることができます。
ここで、利益が0円か赤字ならば、一部を除き納税額は発生しませんから
減価償却費>借入金元金返済額となります。
つまり、
減価償却期間が短い方が、1年の減価償却額が大きくなり
借入金元金返済額が長い方が、1年の借入金返済額が小さくなる
ということになります。
減価償却期間<借入金元金返済期間の方が、
キャッシュフローが改善され、資金繰りが楽になる
と言うことですね。
資産を借入金で取得する場合に、上記の反対になることがありますが、
減価償却期間>借入金元金返済期間になればなるほど、
資金繰りは、苦しくなって行くのです。
では、借入金で土地を取得した場合ですが、
土地は減価償却できませんので、0<借入金元金返済額となり、
資金繰りに重大な影響を及ぼします。
もちろん
必要利益>(借入金元金返済額+納税額−減価償却費)に従い
必ず、必要利益以上の利益を獲得できるのであれば
「絶対に借入金で土地を購入してはいけない」とまで、言えません。
しかしながら、
「土地購入資金の借入金返済が終了するまで、資金繰りは悪化する」
と言う重大なリスクは存在し続けます。
実は、土地ばかりでなく、建物を借入金で取得する場合も
資金繰りに悪影響を与えることになります。
建物は定額法により、減価償却することができます。
建物の耐用年数は、その構造や用途により、
償却期間は、最長50年から11年までとなっています。
例えば、
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもので
工場用なら38年、店舗用なら39年
木骨モルタル造のもので
工場用なら14年、店舗用なら20年
となっています。
しかしながら、
減価償却費>借入金元金返済額
言いかえれば
減価償却期間<借入金元金返済期間
に従おうとしても
借入金返済期間を、そこまで長くすることは、通常できません。
(銀行と交渉して、返済期間をできるだけ長くする必要はありますが・・・)
やはり、十分な資金繰り計画や、利益予算なしに
借入金に頼り、土地や建物を取得するリスクは、
あまりにも大き過ぎるのです。
土地と、建物を同時に取得した場合は、
それに見合う利益=必要利益を獲得できない限り、
かなり資金繰りが悪化してしまいます。
資金繰りの悪化は、例え黒字であっても、自己資本が減少し
やがて債務超過に陥ってしまう可能性があります。
土地や建物を借入金で取得するならば
絶対に、利益予算・経営計画・資金繰り計画が必要です。
このようなことは、管理会計ツール【ここをクリック】
によりシミュレーションすることになります。
さて、ついでとなりますが、
耐用年数が短い機械などの設備投資や、車両購入は、
借入金で購入しても、減価償却期間と借入金返済期間の差は、
ほとんどないか、同じこともあり得ます。
この場合、キャッシュフローに悪影響を与えません。
特に、定率法による償却ならば、当初は減価償却額>借入金元金返済額となり
キャッシュフローは、プラスに作用し、資金繰りも悪化することはありません。
これら短期の耐用年数の資産を、借入金で取得しても
前期以上に、必要利益が大きくなることはないでしょう。
企業は、チャンスを捉えて行かなければなりません。
自己資金で新規の設備投資ができなければ、借入金に頼ることになります。
しかし、資金繰り計画・利益予算・経営計画なしに
設備投資や、借入金を調達することは、非常に無謀なことです。
もちろん、経営戦略を立案しておくことは、言うまでもありません。
健全経営のために、戦略も、予算も、資金繰りも、経営計画もできる
自社なりの管理会計の導入を、強くお勧めいたします。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。
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