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2012年11月08日

5分で分かる決算書の見方(貸借対照表編その2)

今日は、朴念仁です。

前回の、5分で分かる決算書の見方(貸借対照表編その1)の続きとなります。

次のように、貸借対照表を極限まで簡素化して見ました。
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流動資産とは、1年以内に現金化可能な資産。
固定資産とは、流動資産以外の資産。

流動負債とは、1年以内に支払わなければならない負債。
固定負債とは、流動負債以外の負債。(通常長期借入金です)

純資産=資産合計−(流動負債+固定負債)

ですが、これだけでは、貸借対照表を読み取り、分析することができません。
また、型どおりの話しで、何も面白くありません。

そこで、今回は、この内訳表を作ってみます。
taisyaku-utiwake.jpg

貸借対照表で真っ先に見たいところは、固定資産と固定負債です。


支払能力分析のひとつとして、固定長期適合率があります。
何やら難しい名前ですが、とりあえず公式を書いて見ましょう。

固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)で求められます。

その前に、固定負債の内訳を見ると、全額長期借入金(109,000)です。
また、流動負債内訳で、1年内返済長期借入が22,000とあります。

これを、固定負債に戻して考えると
長期借入金残高は109,000+22,000=131,000となるので
この会社の固定長期適合率は
53,000÷(−39,000+131,000)=57.6%となります。

たぶん、経営分析の書籍などを見れば、
固定長期適合率は小さい方が良いとか、100%以下が望ましい
などと書かれているはずです。


理由は、長期間で減価償却する固定資産は、長期借入金で賄うべきで
この比率が100%を超えている時は、短期借入金、つまり運転資金で
固定資産を購入しているので資金繰りが、大変になる。

なるほど、ごもっともな理由であり、私もその通りであると思います。
これに従えば、57.6%と言う結果は、望ましいと判断されてしまいます。


しかし、この会社場合、53,000の固定資産に対し、長期借入金が、131,000。
では、差額の78,000はどこに行ってしまったのか?

見成工事支出金(工事完了前に支出された分で売上は未計上)が、97,000。
前受金(工事完了前に先に受け取った分)が、51,000で、
この差額が、46,000あります。
また純資産が39,000のマイナスになっています(債務超過)。

この合計85,000のほとんどが、
長期借入金で賄われていると考えることもできます。

このうち、純資産のマイナス分が、赤字の穴埋めとして使われた訳です。


ところが、流動資産の内訳で、短期借入金が79,000あります。
見成工事支出金と前受金の差額46,000は、本来こちらで賄っているはずです。

ここで、疑いが生じます。
一概には言えません、こんなケースもあり得るでしょうから。

私の見解としては、
見成工事支出金と前受金の差額が大きすぎるのでは?
もしかしたら、
見成工事支出金を水増し計上しているのではないか?

そうであるならば、粉飾決算ですよね。


さて仮に、
支払手形・買掛金・未払金の全額を短期借入金で賄ったとして、30,000。
見成工事支出金と前受金の差額が、46,000

30,000+46,000=76,000となり、
十分に、短期借入金79,000で賄えきれるはずです。

これにしたって、売掛金が29,000あるので、
支払手形・買掛金・未払金の全額を、借入金で賄う必要はないはずです。

ここで、また疑いが生じます。
回収不能売掛金があるのでは?と。

いろいろな疑念を無視しても
長期借入金−(固定資産+赤字の穴埋め)
=131,000−(53,000+39,000)
=39,000はどこに行ってしまったのでしょうか?



すると、現預金が60,000あります。また、有価証券が4,000あります。
借入金は、こちらに回っていると考えることができます。

このことは、中小企業向け緊急保証制度などを利用して、
金融機関から借りまくった結果であると考えて良いでしょう。


では、この会社ですが、長短合わせて210,000の借入金は、借り過ぎなのか?

表にはありませんが、年間の減価償却は2,000、利益は0でした。


必要利益とは、資金繰りを楽にする利益とも言えますが、
会社が健全に回っていくためには次のようになっている必要があります。

必要利益>(長期借入金元金返済額+納税額−減価償却費)

これに当てはめると、年間20,000のお金が、また不足することになりますが、
今のところ現預金が60,000あるので、業績がこれ以上悪化しない限り
来期は、何とか会社は回って行くでしょう。

そして、現状では借入して良かった、と言わざるを得ません。
まだ、1年、2年は大丈夫そうですから。


このように、貸借対照表を見ることで、
他社であっても、ある程度の分析が可能になります。

また、単純に、流動比率とか、
売上債権/支払債務比率だけの分析も意味がありません。

今回のような切り口で、総合的に判断するのが望ましいでしょう。

今回のような切り口とは
@どこからどんなお金を調達しているのか
Aそのお金はどこに使われているのか

を見ることから、貸借対照表を読んで見ましょう。
と言うことです。

自社のことであれば、もっと良く分かるはずです。

そして、私が示したように
決算書の貸借対照表を思い切って簡素化し、内訳表を作れば
とても見やすくなり、B/Sアレルギーもなくなるでしょう。


さて、結論ですが、
貸借対照表から、この会社は健全であるとの判定はできません。
一刻も早く、借入金依存体質から脱却しなければなりません。

経営改善・経営革新は待ったなしのところに来ています。


戦略を見直し、経営体質の改善を推し進め、健全経営に舵を切るべきです。
なお、この会社の場合、1年や2年で健全な状態へ持ちこむことは無理でしょう。

5年なりの中期経営計画を立案し、確実に計画を達成して行くしかありません。
そためには、管理会計を導入して、経営計画に命を吹き込む必要があります。


また、管理会計の導入は、収益性の向上をもたらします。
そのためには、管理会計ツール【ここをクリック】が不可欠です。
決算書を理解し、管理会計を実践し、健全経営を目指しましょう。


なお、次回は損益計算書を紐解いてみたいと思います。


簡単管理会計の最速・最強ツール9+1こちらから
で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。


posted by 朴念仁 at 18:07| Comment(0) | 中小企業経営全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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