原価計算では、非作業時間をどう予測するのか、が鍵となります。
なぜ、予測なのかは、非作業時間のデータを取得できている
中小・零細企業が、少ないのではないかと思うからです。
それでも予測する必要があるのは、
非作業時間を算出しないと、実質作業時間が分からないからです。
実質作業時間が分からないと、
加工単価(作業単価)と販売管理費割当単価が算出できず
原価計算が緩いものになってしまいます。
とは言っても、予測で非作業時間を算出する訳ですから、
もともと完璧な原価計算ではありませんね。
それでいいのです。
完璧な原価計算など不可能なのですから。
ただ、それでも一定の基準で、原価計算をしないと
販売価格を決定するための、これも基準や目安が無くなってしまいます。
さて、非作業時間に含めるものは、
(1)年間の発生日数として
@有給休暇日数
A欠勤日数
B待機日数(荒天など外部要因で作業ができない日数)
(2)1日あたりの発生時間として
C朝礼時間など
D全体製造時間
E会議・打合せ時間
F材料手配時間
G不良品手直し時間
H怠惰時間
となります。
実質作業時間は
製造または現場部門と、販売管理部門で別々に算出し、
予定就業時間からこれらの非作業時間を引いて、
各部門の年間実質作業時間を求めます。
年間実質作業時間=年間予定就業時間−年間非作業時間
非作業時間を予測算出して見ると分かりますが
思っていた以上に、非作業率が高いことに気づくかもしれません。
しかい、その分だけ生産性向上が可能で、
原価を低減するチャンスが、大きいと言えるでしょう。
なぜ、原価を低減できるのか?
非作業時間を少なくできれば、実質作業時間が増えますが
これは、加工単価(作業単価)を低減できるからです。
1人1時間あたり加工単価=加工高÷実質作業時間
非作業時間が減れば、分母の実質作業時間が大きくなるので、
1人1時間あたり加工単価は小さくなります。
原価計算では
・原材料費・資材費など
・外注加工費
・加工高
・販売管理費割当額
が原価であり
ここに、利益を加えて販売価格を決定します。
それぞれの製品では、
加工高
=1人1時間あたり製造(現場)部門加工単価×作業時間
販売管理費割当額
=1人1時間あたり販管部門作業単価×(販管実質作業時間÷製造実質作業時間)
のように求めることができるので
非作業時間を少なくすれば、加工単価・作業単価が低くなり
原価を低減することができます。
もちろん、原価の低減は、
製品や現場での作業時間を短縮することでも、実現できます。
原価を低減できれば、
価格を引き下げることで、市場での競争力が増し
価格を据え置くことで、利益率の向上が可能になります。
面倒な非作業時間の算出や、加工単価の算出は
原価計算テンプレートに連動した予算作成ツール【ここをクリック】
を利用すれば簡単に実行可能です。
完璧な原価計算は不可能ですが、
生産性向上や、販売価格決定のためには、自社なりの基準による原価計算は必要です。
なおかつ、時間を無駄にしないためには、より簡単な方法が良いでしょう。
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で社長さんの会社の儲けの理由を明らかにしましょう。